任意後見制度の概要
- Q15 任意後見制度とは,どのような制度ですか?
A15 任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来、判断能力が不十分な状態になった場合に備えて、あらかじめ自らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、療養看護や財産管理に関する事務について代理権を与える契約(任意後見契約)を公証人の作成する公正証書で結んでおくというものです。そうすることで,本人の判断能力が低下した後に、任意後見人が、任意後見契約で決めた事務について、家庭裁判所が選任する「任意後見監督人」の監督のもと本人を代理して契約などをすることによって、本人の意思にしたがった適切な保護・支援をすることが可能になります
- Q16 任意後見制度を利用して任意後見監督人が選任された事例を 教えてください。
A16 次のような事例があります。
○ 任意後見監督人選任事例 ア 本人の状況:脳梗塞による認知症の症状 イ 任意後見人:長女 ウ 任意後見監督人:弁護士 エ 概要 本人は、長年にわたって自己の所有するアパートの管理をしていましたが、判断能力が低下した場合に備えて、長女との間で任意後見契約を結びました。その数か月後、本人は脳梗塞で倒れ左半身が麻痺するとともに,認知症の症状が現れアパートを所有していることさえ忘れてしまったため、任意後見契約の相手方である長女が任意後見監督人選任の審判の申立てをしました。家庭裁判所の審理を経て、弁護士が任意後見監督人に選任されました。その結果、長女が任意後見人として、アパート管理を含む本人の財産管理、身上監護に関する事務を行い、これらの事務が適正に行われているかどうかを任意後見監督人が定期的に監督するようになりました。