補佐人 補助人
- Q5 「保佐・補佐」制度ってどんな制度ですか?
A5 精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力が著しく不十分な方を保護・支援するための制度です。 この制度を利用すると,お金を借りたり,保証人となったり,不動産を売買するなど法律で定められた一定の行為について,家庭裁判所が選任した保佐人の同意を得ることが必要になります。保佐人の同意を得ないでした行為については,本人または保佐人が後から取り消すことができます。ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など「日常生活に関する行為」については,保佐人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。また,家庭裁判所の審判によって,保佐人の同意権・取消権の範囲を広げたり,特定の法律行為について保佐人に代理権を与えることもできます。
- Q6 「保佐」制度を利用した事例を教えてください。
A6 次のような事例があります。
○ 保佐開始事例
ア 本人の状況:中程度の認知症の症状 イ 申立人:長男 ウ 保佐人:申立人 エ 概要 本人は1年前に夫を亡くしてから一人暮らしをしていました。以前から物忘れが見られましたが,最近症状が進み, 買物の際に1万円札を出したか5千円札を出したか,分からなくなることが多くなり,日常生活に支障が出てきたため, 長男家族と同居することになりました。隣県に住む長男は,本人が住んでいた自宅が老朽化しているため, この際自宅の土地,建物を売りたいと考えて,保佐開始の審判の申立てをし,併せて土地,建物を 売却することについて代理権付与の審判の申立てをしました。 家庭裁判所の審理を経て,本人について保佐が開始され,長男が保佐人に選任 されました。長男は,家庭裁判所から居住用不動産の処分についての許可の審判を受け, 本人の自宅を売却する手続を進めました。
- Q7 「補助」制度ってどんな制度ですか?
A7 軽度の精神上の障害(認知症・知的障害・精神障害など)により,判断能力の不十分な方を保護・支援するための制度です。 この制度を利用すると,家庭裁判所の審判によって,特定の法律行為について,家庭裁判所が選任した補助人に同意権・取消権 や代理権を与えることができます。 ただし,自己決定の尊重の観点から,日用品(食料品や衣料品等)の購入など 「日常生活に関する行為」については,補助人の同意は必要なく,取消しの対象にもなりません。 補助人に同意権や代理権を与えるためには,自己決定の尊重の観点から,当事者が,同意権や代理権による保護が必要な行為の範囲を特定して,審判の申立てをしなければなりません。この申立ては,補助開始の審判とは別のものです。 なお,補助に関するこれらの審判は,本人自らが申し立てるか,本人が同意している必要があります。
- Q8 「補助」制度を利用した事例を教えてください。
A8 次のような事例があります。
○ 補助開始事例
ア 本人の状況:軽度の認知症の症状 イ 申立人:長男 ウ 補助人:申立人 エ 概要 本人は,最近米を研ずに炊いてしまうなど,家事の失敗がみられるようになり,また,長男が日中仕事で 留守の間に,訪問販売員から必要のない高額の呉服を何枚も購入してしまいました。困った長男が家庭裁判所 に補助開始の審判の申立てをし,併せて本人が10万円以上の商品を購入することについて同意権付与の審判の申立てをしました。 家庭裁判所の審理を経て,本人について補助が開始され,長男が補助人に選任されて同意権が与えられました。その結果,本人が長男に断りなく10万円以上の商品を購入してしまった場合には,長男がその契約を取り消すことができるようになりました。