相続等にまつわるブログや小話
057 平成19年分確定申告 平成20年2月
電子申告を積極的に推進しようとする国税庁が諸手続を大幅に改善し
てきました。今年(平成19年分所得税申告)の電子申告はかなり増加
する雰囲気です。当事務所も電子申告を推進しています。
① 税理士が代理申告申請・申告する場合の手続きが効率化されまし
た。これにより税理士側も扱いやすくなりました。
② 今年の所得税の確定申告をe-Taxで行う場合、1月4日から医療費
の領収書や給与所得の源泉 徴収票、社会保険料控除証明書等の書類の
添付を省略できる事となりました。添付省略した書類は、確定申告期限
から3年間は保存する必要があります。
③ 納税者自身が電子申告を行う場合5千円の控除ができると案内
されています。しかし申告 者が住基カード等を用意する必要があり税
理士が代理申告する場合は適用されません。普及 を図るのならばすべ
ての電子申告納税者に適用してもよいと思いますが。
④ 現在e-Taxで電子納税する場合、インターネットバンキング契約
手続きが必要です。これを税務署に金融機関の口座番号等を登録してお
けば、電子申告を行うと同時にリアルタイム で口座から自動引落とし
する改正案がでています。既存の口座を活用できることになります。
057 今年の税制改正は流動的
平成20年度税制改正に関し自民党大綱、政府要綱、改正法案が出さ
れています。 注目すべきは ・「減価償却制度」で耐用年数表を見直し
簡素化に(現行の390区分から55区分に) ・事業承継税制を21年度改
正で導入し20年10月遡及適用へ(事業承継円滑化法) ・20年3月に適
用期限を迎える租税特別措置についての、延長問題 などですが、「民
主党の大綱」もあり、なかなか流動的な要素を含んでいます。その中か
ら興味ある項目を抜粋してみると ◇証券税制については、上場株式等
の譲渡所得配当所得の軽減税率は廃止と特例措置の創設、 税率は20
%となるが、配当との損益通算が可能にも。 ◇いわゆる「事業承継円
滑化法」で中小企業の事業承継税制では、一定の要件のもと非上場株式
等に係る相続税の80%を納税猶予する方向などが打ち出され注目を集め
ています。しかし、適用除外法人もあり注意事項は多そうです。遺留分
(民法)との整合性もあり、「民法の特例」が考えられています。
◇相続関連においては 改正大綱では、新しい事業承継税制の改正にあ
わせて、相続税課税方式を現在の法定相続分課税方式から遺産取得課税
方式に改めることを検討することとしています。課税方式の違いでどの
ような影響が出てくるのでしょう。
①遺産課税方式は、亡くなった人(被相続人)の財産に課税します。
相続人の数や遺産分割に関係なく、税負担に差は生じません。遺産が4
億円ならば相続税は1億円という具合に。被相続人の一生の財産の清算
といった考え方です。採用国はアメリカとイギリス(日本も~昭和24
年)。 ②遺産取得課税方式は、個々の相続人がいくら財産を取得した
かにより課税します。 遺産分割の仕方によって、取得財産に応じた累
進税率が適用され、相続税の総額が違い税負担に差が生じます。採用国
は、ドイツとフランス(日本は昭和25~32採用)。 ③法定相続分課
税方式は、遺産取得課税方式を基礎とした課税方式で、法定相続分で分
割したものとして相続税の総額を計算しそれを各人に按分します。遺産
額が同じでも分割の仕方によって相続税負担に差が生じます。またすべ
ての財産を把握しなければ相続税の総額は計算できません。採用国(日
本のみ 昭和33~現在) 現行での基礎控除の範囲の相続財産であって
も、遺産の相続税額が算出される場合も出てくる事も予想されます。今
までの「相続税対策」をもとから見直していく必要が出てきます。
今年の年末は注目です。