相続等にまつわるブログや小話
052 事業承継税制2題 平成19年10月
中小企業庁が事業承継問題に関する平成20年度税制改正の要望を出
しました。 事業承継において、中小企業の非上場株式等の事業用資
産の相続税の課税価額を80%以上軽減する措置の導入を要望するもの
です。 現行の事業承継税制では、特定同族会社株式等を相続した場
合に、課税価格の10%を軽減する措置が設けられています。しかし、
依然相続税の負担が事業承継の抑制や廃業の要因となっているとして、
①計画的な事業承継を行うこと ②数年程度の事業継続 ③株式を
保有④経営従事の継続 ⑤雇用を確保すること、等 の要件のもとで
税制面から事業承継の支援をしたいと言うものです。農業の維持継続の
ための相続税等の納税猶予、小規模宅地等特例などに通じる考え方なの
でしょう。
052 特定同族株式等に係る相続時精算課税
高額な取引相場のない株式等(自社株式等)に頭を悩ますオーナー経営
者にとって、19年改正の特定同族株式等に係る相続時精算課税制度は一
見朗報のようです。しかし、適用にあたっては十分な検討と注意が必要
です。特定同族株式等に係る相続時精算課税概要相続時精算課税におい
て ①オーナー経営者が、②取引相場のない株式等(自社株式等)を、③
後継者である子供(会社の代表者になる場合)に贈与する場合には、
2007年1月1日から2008年12月31日までの間の贈与については贈与
者の年齢制限が60歳以上に引き下げられ、非課税枠も3,000万円に引き
上げられた制度です(一定要件を満たすことが必要です)。さらにこの
特例の適用を受けることについては、贈与者である親の推定相続人すべ
ての同意を得ていることも要件となっています。このたび措置法通達が
改正され、解説した資産課税課情報が出ましたが、その中で前述の特例
を受けている場合には、他の相続人すべてについて小規模宅地特例の適
用はないから留意しなさいとしています。「推定相続人全員の同意」の
もと、重複して特例は使えないことを相続人は承知している、としてい
ます。将来予測は難しいですが現段階での適用にあたっては十分な検討
と注意が必要です。