相続等にまつわるブログや小話
027 遺産分割前の収入の配分 平成17年9月
遺産分割が確定する前に発生した賃借料や配当などの収入(法定果実
)をどう分配するのかについて、最高裁判所が「法定相続割合に応じて
取得すべき」との初めての判断をしました。いままでも下級審の判例や
学説では、「数年かかってしまう協議では法定相続分で分割を」という
説と、「共有財産として分割協議が必要」と言う説と統一的な扱いにな
っていませんでした。税務の実務面では、未分割遺産にかかる収入につ
いては法定相続割合で申告するという取扱いをしていますが、その年内
に分割協議が終わった場合などは当初の財産による収入として申告する
という裁決もあります。ここでも判例のように統一されてはいませんで
した。今回の判断で統一的な扱いになっていきます。
027 医療費の抑制と効率化
医師らの団体「医療事故調査会」が医療事故の7割超が医師らのミス
と発表しました。鑑定した733件のうち7割超が医師らのミスによるも
ので、4分の3で医師の技量不足があり、診断ミスが多いとのこと。患者
への説明が十分でなく、トラブルになるケースも増加が続いているとい
います。財政状態のうえで医療費の抑制が大きな課題となっています。
身体の小さな小児は薬量も体積も当然小さい訳ですが、と言って診療
単価が低くていいというものではありません。緊急な診療を必要とする
度合いは成人より多いかもしれません。小児科診療報酬は他の科などよ
り低く、過重な労働と言うことで小児科医のなり手が全国的に減少して
います。必要な治療が受けられなければ子供を産みたくても安心できま
せん。過剰な医療費や医師の技量不足、診断ミスはごめんですが、少子
高齢化社会に向けても必要な医療を効率的に行っていくことと予防医療
が重要ではないでしょうか。企業経営に於いても総経費の削減ばかりに
とらわれず、効率化とのバランスを考える必要があります。
027 金融環境
先日、中小企業家同友会で「金融環境」の勉強をしました。中小企業
にとって金融環境はとても厳しいものがあります。企業経営者である講
師が、最近の金融情勢の動向や信用格付けや、実際の融資の際の金融機
関特に保証協会との交渉経過、自社の財務強化の施策の重要性、さらに
金融機関とのコミュニケーションの大切さなどを話され、それについて
参加経営者が討論をするというものです。 その中では経営計画や経営
指針などをツールに金融機関側に積極的にアタックしていくことが、経
営者の質と企業の格付評価の向上につながるとの意見が多く出ました。
外部に夢を語れる経営者になり、財務体質を強化するという自助努力が
必要であり、金融機関と情報の共有を行なっていくことが大切との結論
でした。大変勉強になりました。
027 生前贈与を有効に
もう一つ相続税調査の話題。調査では借名預金(家族名義預金)が問
題となりました。古くに発生した預金が贈与財産なのか、あるいは相続
財産に取り込むべきもので隠していたのではないかということでした。
相続税の調査時に、名義人の本当の預金であるか借名預金であるか、
が問題となる場合が多くあります。最終的には事実認定の問題となりま
すが、贈与は
①あげる・貰うの契約であり双方が認識していること。
②財産の管理運用が適正であることが必要です。
あげる方と貰う方の印鑑が同じ、申込書の筆跡も同じ、まして通帳も利
息もズーッとあげた人が管理しているといった状態では、贈与したとは
とてもいえません。暦年課税制度による贈与は、大変有効な手段です。
のちのち税務署とのトラブルをさけるためにも確実に認められる贈与を
行いましょう。