蘭

  

相続等にまつわるブログや小話


006 高齢化社会と、後見人制度 平成15年5月

 

 過日、税理士会が「成年後見人等養成研修会」を開催したので、参加
しました。二日間しっかりと講義があり、レポートを提出するというも
のです。「成年後見制度」は平成12年介護保険制度と平行し、両輪と
しての位置づけで民法が改正された制度です。以下要旨です。
★高齢化社会の加速
 21世紀に入り、ますます高齢化は進み10年後には人口の25%は
65歳以上という世代構成になります。加齢による肉体的・精神的退化
がおこり、なかには痴呆化する人も出てくることが想定されます。家族
構成の核家族化により、老夫婦あるいは独り身の世帯も増えてくるでし
ょう。人が生活していくには様々な判断が要求され、通常の判断が出来
ている間はよいですが、いざ呆けてきたときに支障が発生します。法律
的判断、重要な判断が出来なければ本人にも周囲にも多大な損害を与え
かねません。
★旧後見・保佐制度
 民法の旧制度においては「禁治産制度」がありましたが、戸籍に「禁
治産」と載るなど支障を来すことが多く、伴う時間と費用も少なくなか
ったことから、実態に沿った運用は難しかったようです。そこで人権の
保護をいっそう重する上から、さらには高齢化社会に伴う財政支出の抑
制のためにも、後見制度が見直され、民法の改正が平成12年4月、介
護保険法と期を合わせて施行されました。
★身上監護と財産管理
 成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。法定後
見制度は、「後見」「保佐」「補助」があります。新たにできた「補助
」は、軽度の判断能力者を対象とするもので、今後の増大するまだら呆
けなどの痴呆者に対応できるのではないかと思います。また後見登記制
度によって、プライバシーの保護が可能となりました。任意後見制度は
、改正法の目玉である「措置」から「契約」へと転換した新たな制度で
す。本人の判断能力が健常な時に、あらかじめ契約によって能力低下時
の後見の範囲や後見人を定めておくもので、自己の意思尊重が出来る制
度であります。本人や親族等が申し立てをすることにより、家庭裁判所
が任意後見監督人を選任することによって、契約が開始されます。公正
証書による委任契約の受任範囲で、後見事務が行なわれます。
  ★後見の範囲
 後見人の主な事務は、身上監護と財産管理ですが、基本的にご本人の
意思の尊重が根底にあるのはいうまでもありません。身上監護の主な事
務としては ①介護契約に関する事項 ②各種福祉サービスに関する事
項 ③福祉施設入所契約に関する事項 ④医療契約に関する事項 ⑤財
産管理、身上監護に関する紛争処理事項があります。また、財産管理の
事務としては ①預貯金関係の取引事項 ②定期的収入支出に関する事
項③日常生活に関する取引事項 ④所有財産管理運営処分事項 ⑤本人
の居住用不動産に関する事項  ⑥相続関連の法律行為に関する事項 ⑦
公法上の行為・各種手続きなどがあります。
★必要性は高まる
 後見人としての事務も得意とする分野がありそうで、身上監護につい
ては社会福祉士の方々、財産管理は税理士・弁護士・司法書士等、財務
に明るい職業専門家があげられ、お互い協力していくことが必要です。
現在は後見人の多くは親族がなっていますが、後見の負担の重さを考え
ると、いずれ徐々に第3者後見人の比率は高まっていくと思われます。
 人の後見をするということは、法定後見人にしても任意後見人にして
もそう簡単なことではありませんが、研修を受けこれからの高齢化社会
での必要性を充分に感じました。今後の業務に活用させていきたいと思
います。


006 孫養子は相続時、税額が2割加算の対象に 15年5月

今まで、妻と実子など一親等内の親族以外の親族が相続財産を取得した
場合、各人の税額は二割増しという制度がありましたが、今回、養子と
した孫(代襲相続人である者をのぞく)も追加されました。基礎控除と
2割加算、16年度税制改正にのぼっている相続税法の改正案とにらみ
合わせて、対処していくことが必要です。


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