サポート通信 18年7月
   非居住者・役員交代など    「実質」 − 3題     

−そのT−  

 日本の税は外国にくらべ負担が大きいようです。そのために住所を外国に移し、より低い税負担を享受する法人や富裕層がいます。所得税では最近も話題になったハリーポッターの翻訳者。過去にもメガネ屋サン、贈与税では貸金業者のオーナーが税務当局に、居住者としての課税を指摘されています。
 
 そもそも居住者・非居住者とはいったいなんでしょう。
 所得税法では、居住者とは日本国内に住所があり1年以上居所を有する個人を指すとしています。住所とは生活の本拠をいい、住居、職業、親族の有無、資産の所在などの客観的事実から総合的に判定され、住民票を移していても生活実態から判断されます。そして非居住者は「居住者以外の個人」をいいます。 また居住者は、日本国内外の所得の税を納める義務があり、非居住者は国内で稼いだ所得(国内源泉所得)のみ課税されます。
 
 ところで、ハリポタ訳者は外国に居住しているとして外国で納税し、日本では申告していません。国内源泉所得の所得税も外国で控除され、結局日本国へ納税額はありません。しかし国税局は「実質的に日本に居住実態があったと認定し」約35億円の申告漏れを指摘したということです。日本の所得税負担は最高で50%、かの国は40%だそうです。居住実態の最終結論は先のこととしても、最近富裕層が税逃れのため(?)に海外に移住しているとの報道もあります。
 
 一生懸命働いて稼いだ資産に対し税金が少ないことを願うのはよくわかります。でもハリポタ訳者の稼いだ資産のほとんどは、日本国民が本を購入してくれたからではないですか。居住を争われるほどに来日(期間)も多いわけで、多少税率が高いからといって日本国に納税しないという感性はいかがなものか。
 純粋に海外移住をしたい方はそれでよいと思います。このように思うのは、持たない者のひがみでしょうか。
  −そのU−  役員交代と退職慰労金   
 
 事業承継や業績・経営形態の変更などから代表取締役や取締役を交代することがあります。しかしその後の扱いによっては「退職慰労金が認められるない場合もある。」と京都地裁が、判示しました。(控訴中)
 ここでも形式的には代表役員を交代し報酬を激減した場合であっても、実質退職には当たらないと判断されました。
   −そのV−  特殊支配同族会社
 今年の税制改正で特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度が導入されました。
要件をはずせば適用除外となるためいろいろと模索されているようです。要件の1つ持株等割合の90%以上の基準について、親しい第三者に11%以上の株式等を保有させれば、特殊支配同族会社から外せるという考えもあります。
 @従業員持株会が株式を持つA顧問税理士等が株式を持つB親族の範囲外の近い関係者が株式を持つ、などが想定されます。しかしこれには注意が必要です。形式は整っても実質はどうかで判断する「見なし規定」が税法に規定されているからです。 ただ、会社経営や形態を見直し、従業員の経営参加意識の向上の為に持株会を設立したり事業承継を考えるきっかけにするにはよい機会です。
   老年者控除と公的年金等控除の影響 

 老年者控除と公的年金等控除の見直しにより今年は納税者がかなり増えました。所得金額の増加にあわせ住民税健康保険税の増加に悲鳴があがってきていると新聞などで話題になっています。

  税理士会の研修
 
 税理士資格に更新制度はありません。その代わりとして「研修の受講義務」が年間36時間あります。もっとも今のところ罰則はありませんが。「研修のテーマ」は、税制改正や税務解釈などですが、最近は参加率がいいです。

 テーマは「18年度税制改正」「会社法」。最近の経済新聞や税務関係雑誌に、会社法、役員給与関連の記事が載らないことがないほど、5月から施行された会社法は、企業関係者にとっても重要なテーマですが税理士業界にとっても、消費税導入以来の重要課題を突きつけてきています。関与先法人のこれからの方向付けをどう指導していくのかが問われる極めて神経質な問題です。更に追い打ちをかけるように4月より税制改正が施行されています。今回の改正の「定期同額給与」「事前確定届出給与」「特殊支配同族会社の給与所得控除損金不算入」の項目は今までの延長線では考えられない部分が多々折り込まれてきたからです。
 どこの業種もそうですが、情報・技術の更新は切実なものです。

  
   飲酒死亡事故、一緒に飲んだ同僚に賠償命令

 東京地裁は28日、本人への厳罰は当然として、飲酒をすすめた者にも、飲酒運転をやめさせる義務を怠った場合は責任があると判決しました。飲酒運転が許されないことへの警鐘を肝に命じ、タクシーや代行運転を活用しましょう。

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15年
事務所通信記録