事務所通信 15年6月
デメリットの検討を  
 相続時精算課税制度ではメリットよりデメリットの検討が重要

 マネー誌や住宅広告に「相続時精算課税制度の有効活用」と魅力的に扱われていますがその適用は、贈与から相続までかなりの長期間に及び、その間様々な状況変化が想定されます。課税関係の前提も変化し、相続税額が変動(損をする)が予想されます。
 いずれにせよ相続時精算課税は、一度選択しますと取消し(撤回)できません。贈与〜相続までの間の状況変化を想定し、次の事項を検討しましょう。

  @ 他の相続人への配慮(遺留分・特別受益・連帯納付義務) 
  A 暦年課税制度(110万円)との比較
  B 納税資金の確保(代償分割・受贈財産は物納できない)
  C 財産価額は右上がりとは限らない(受贈価格の据置)
 
 相続税の基礎控除以下の資産階層では、まとまった贈与に活用できますが、それでも上記の検討は必要です。財産が多くても少なくても「争族」の可能性はあります。
 【今回の政府税制調査会の答申では基礎控除(5千万円等)の縮小が盛り込まれ、今後  申告の必要な相続人が増える可能性があります】

 住宅取得資金の精算課税は適用後も継続 (ドキッとするケース1)
 いわゆる3500万円特例制度では、65歳未満の者からの贈与であっても、制度の対象となる一方で、“住宅取得資金”に係る特例を適用した場合には、その後の“通常”の贈与でも、65歳以上という贈与者側の年齢要件が外れ、精算課税が継続して適用され、非課税枠も2,500万円が限度額です。

 養子縁組を解消したら2割加算(ドキッとするケース2)
 相続時精算課税では、養子縁組を解消しても制度の継続適用があり相続税の申告を行わなければなりません。要するに、縁が切れても申告は必要と言うこと。さらに2割加算の適用になります。2割加算の対象とならないのは養子縁組時に贈与を受けた財産のみです。

 子が先に死亡の場合、母に贈与額全額の納税義務が(ドキッとするケース3)
 特定贈与者(父親)の死亡以前に相続時精算課税適用者(子)が死亡した場合、父親は、相続時精算課税に係る贈与税の納税に関する権利・義務を承継しませんが、次に父親が死亡した場合、納税義務が“復活”し、すべて配偶者(母親)等の相続人に引継がれます。
このようにこの制度を活用しようとする場合、様々な想定を考える ことが必要で、単純に節税・軽減にはならず「相続の前倒し」と同 じぐらいの位置づけで、総合的に検討することが重要です。
パソコン等のIT投資減税  特例はあくまで特例!
 新設された「IT投資促進税制」と「中小企業者等の30万円未満の減価償却資産の損金算入特例」等を使う上での留意点をピックアップします。
 ・1台あたりの取得価額が
    10万円未満  少額の減価償却資産の取得価額の損金算入
    20万円未満  一括(3年)償却資産の損金算入
    30万円未満  中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
 ・1台当たりの取得価額、または取得価額の合計額 100万円以上
   《中小企業投資促進税制》の特例   …30%特別償却または7%税額控除
 ・1台当たりの取得価額、または取得価額の合計額 140万円以上
    《IT投資促進税制》情報通信機器等の特例  …50%特別償却または10%税額控除
 これらの“措置法特例”の適用関係でいずれの特例も適用できるという場合でもどれかひとつの特例を選択して適用することになります。
さらに一括3年償却等との重複適用も不可ですから、「10万円未満・20万円未満」の適用を受けるものも除外しているので、取得価額の合計額の判定で含めることはできません。
高知県人は元気じゃき
    先日、事務所の旅行で四国、高知県四万十川に行きました。台風  の後で、水量が多く白く濁っていて「最後の清流」には巡り会えま
 せんでしたが、やはり水の色が違いきれいでした。
 台風当日は、写真の「沈下橋」の上2〜3メートルまで、水位があったそうです。四国の友人たちの話では、特に驚くことなく、ありふれた光景だそうで生活に根付いた自然とのつきあいに感心させられます。県庁高知市の人口が33万人、山と海の県ですが竜馬とともにしっかり生き抜いていました。

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