事務所通信 15年5月
高齢化社会と、後見人制度
 過日、税理士会が「成年後見人等養成研修会」を開催したので、参加しました。二日間しっかりと講義があり、レポートを提出するというものです。 「成年後見制度」は平成12年介護保険制度と平行し、両輪としての位置づけで民法が改正された制度です。以下要旨です。
★高齢化社会の加速
 21世紀に入り、ますます高齢化は進み10年後には人口の25%は65歳以上という世代構成になります。加齢による肉体的・精神的退化がおこり、なかには痴呆化する人も出てくることが想定されます。家族構成の核家族化により、老夫婦あるいは独り身の世帯も増えてくるでしょう。 人が生活していくには様々な判断が要求され、通常の判断が出来ている間はよいですが、いざ呆けてきたときに支障が発生します。法律的判断、重要な判断が出来なければ本人にも周囲 にも多大な損害を与えかねません。
★旧後見・保佐制度
 民法の旧制度においては「禁治産制度」がありましたが、戸籍に「禁治産」と載るなど支障を来すことが多く、伴う時間と費用も少なくなかったことから、実態に沿った運用は難しかったようです。そこで人権の保護をいっそう重する上から、さらには高齢化社会に伴う財政支出の抑制のためにも、後見制度が見直され、民法の改正が平成12年4月、介護保険法と期を合わせて施行されました。
★身上監護と財産管理
 成年後見制度には、法定後見制度任意後見制度があります。
 法定後見制度は、「後見」「保佐」「補助」があります。新たにできた「補助」は、軽度の判断能力者を対象とするもので、今後の増大するまだら呆けなどの痴呆者に対応できるのではないかと思います。また後見登記制度によって、プライバシーの保護が可能となりました。
 任意後見制度は、改正法の目玉である「措置」から「契約」へと転換した新たな制度です。本人の判断能力が健常な時に、あらかじめ契約によって能力低下時の後見の範囲や後見人を定めておくもので、自己の意思尊重が出来る制度であります。本人や親族等が申し立てをすることにより、家庭裁判所が任意後見監督人を選任することによって、契約が開始されます。公正証書による委任契約の受任範囲で、後見事務が行なわれます。
★後見の範囲
 後見人の主な事務は、身上監護と財産管理ですが、基本的にご本人の意思の尊重が根底にあるのはいうまでもありません。  
 身上監護の主な事務としては @介護契約に関する事項 A各種福祉サービスに関する事項 B福祉施設入所契約に関する事項 C医療契約に関する事項 D財産管理、身上監護に関する紛争処理事項があります。
 また、財産管理の事務としては @預貯金関係の取引事項 A定期的収入支出に関する事項B日常生活に関する取引事項 C所有財産管理運営処分事項 D本人の居住用不動産に関する 事項 E相続関連の法律行為に関する事項 F公法上の行為・各種手続きなどがあります。
★必要性は高まる
 後見人としての事務も得意とする分野がありそうで、身上監護については社会福祉士の方々、財産管理は税理士・弁護士・司法書士等、財務に明るい職業専門家があげられ、お互い協力していくことが必要です。現在は後見人の多くは親族がなっていますが、後見の負担の重さを考えると、いずれ徐々に第3者後見人の比率は高まっていくと思われます。
 人の後見をするということは、法定後見人にしても任意後見人にしてもそう簡単なことではありませんが、研修を受けこれからの高齢化社会での必要性を充分に感じました。今後の業務に活用させていきたいと思います。
配当源泉課税関連
株式の配当にかかる源泉税が平成15年4月1日以後10%になりました(平成20年3月まで)。 さらに、少額配当の申告不要要件の上限10万円が撤廃されました。ですから、ほとんどの人は、「申告不要」によりすませることができます。所得が赤字の時などは、相談してください。
孫養子は相続時、税額が2割加算の対象に
 今まで、妻と実子など一親等内の親族以外の親族が相続財産を取得した場合、各人の税額は二割増しという制度がありましたが、今回、養子とした孫(代襲相続人である者をのぞく)も追加されました。基礎控除と2割加算、16年度税制改正にのぼっている相続税法の改正案とにらみ合わせて、対処していくことが必要です。
  
  
〈通信記録表紙に戻る〉


〈通信 目次に戻る〉